あふれるほどの春が来ていた
自分がどうしてここにいるのか、時々わからなくなって、こんなのわたしだけなのかな、と不思議な気持ちになることがある。
それを誰かに話そうとしても、言葉にしたらほんとうとは違ってしまう気がしてうまく話せない。だから、どうしようもない気持ちになった時、本の言葉を読み返した。
「感情って、悲しむだけの同一の感情で貫くのが深いとは言えず、笑ったり怒ったり忘れたりすることで、自分を守ろうとするんでしょうね。決して消えないものとして育っていく。」
ひとつを感じ続けなくていいし、苦しいものとして排除しなくてもいいし、忘れてもなくならないし、一緒にいてもいいんだと思った。
そうして、うまく表せない気持ちをそのままに、からだのなかに置き場所を作ることにしたら、その気持ちは安心していた。
いていいよ。いてほしい。
わたしに、そう言って欲しかったのかもしれない。